全自動洗濯機や食器洗い乾燥機など、私たちの生活を便利にする家電製品の多くは、給水・排水を自動で制御しています。しかし、これらの製品の動作が原因で、不快なウォーターハンマー現象が発生することが少なくありません。なぜ、ウォーターハンマー現象は特定の家電製品で起きやすいのでしょうか。その相性の悪さの理由を探ります。ウォーターハンマー現象は、配管内の水が急に止められることで発生する衝撃波が原因です。全自動洗濯機や食器洗い乾燥機は、この「水を急に止める」という動作を頻繁に行う特徴を持っています。これらの家電製品には、水の供給を瞬時に開始・停止させるための「電磁弁」という部品が内蔵されています。例えば、洗濯機が給水を終えた瞬間、電磁弁がピシャリと閉まります。すると、それまで勢いよく流れてきた水は行き場を失い、配管内で急ブレーキがかかります。この時、水の運動エネルギーが衝撃波となり、配管に大きな負荷をかけることでウォーターハンマー現象が発生するのです。食器洗い乾燥機も同様に、給水サイクル中に電磁弁が頻繁に開閉するため、ウォーターハンマーが起きやすい条件が揃っています。手動で蛇口をゆっくり閉める場合とは異なり、電磁弁は機械的に瞬時に開閉するため、水の流れを緩やかに止めることができません。これが、家電製品がウォーターハンマー現象の発生源となりやすい最大の理由です。特に、給水圧が高い家庭や、配管が古くなっている家庭では、その傾向が顕著に現れることがあります。ウォーターハンマー現象は、家電製品自体の故障の原因となるだけでなく、接続されている給水ホースや、さらに奥の住宅配管にも繰り返しダメージを与えます。これにより、ホースの劣化や配管の緩み、水漏れなどの二次被害に繋がる可能性もあります。このような家電製品が原因のウォーターハンマー現象に対処するためには、電磁弁による急な停止を緩和する対策が必要です。例えば、ウォーターハンマー吸収器の設置や、水圧を下げるための止水栓の調整などが有効な手段となります。家電製品の便利さを享受しつつ、給水設備への負担を最小限に抑えるための工夫が求められます。
ウォーターハンマー現象と家電製品