それは何の変哲もない休日の午後でした。少し多めにトイレットペーパーを使ってしまったかな、という自覚はありましたが、まさかあんなことになるとは思ってもいませんでした。レバーを引くと、いつもと違う鈍い音とともに、便器の水位がゆっくりと上昇し始めたのです。私の頭は一瞬でパニックになりました。溢れてはいけない、その一心で、私はインターネットで調べた「トイレ詰まりを溶かす方法」を片っ端から試すことにしたのです。最初に試したのは、お湯でした。やかんで沸かした熱湯はダメだと書いてあったので、給湯器を50度に設定し、バケツに汲んで慎重に注ぎ込みました。しかし、水位は全く変わる気配がありません。次に挑戦したのは、家に常備してあった重曹とお酢です。重曹を振りかけ、お酢を注ぐと、シュワシュワと泡が出て、今度こそはと期待に胸が膨らみましたが、1時間待っても結果は同じでした。泡が消えた後の静かな水面が、私の絶望を映しているようでした。もう後がないと、私は近所のドラッグストアに走り、一番強力そうなパイプクリーナーを購入しました。ゴム手袋をはめ、換気扇を最大にして、ドロリとした液体を便器に注ぎ込みました。刺激臭にむせながら待つこと1時間。祈るような気持ちでバケツの水を流し込むと、ゴボゴボッという大きな音を立てて、水が吸い込まれていったのです。詰まりが解消された瞬間の安堵感は、今でも忘れられません。振り返れば、私の詰まりの原因は、おそらく溶けやすいトイレットペーパーだったのでしょう。だからこそ、最終的に薬品で溶かすことができたのだと思います。この一件で、私は詰まりの原因を見極める重要性と、様々な「溶かす」方法があることを身をもって学びました。そして何より、もう二度とトイレットペーパーを大量に流すまいと固く心に誓ったのでした。