築年数が経過した我が家のトイレを少しでも快適にしたいと考え、長年使い古された普通便座を、最新の多機能な温水洗浄便座へと自分自身で交換することに決めました。最初はプロの水道業者に依頼しようと考え、いくつか見積もりを比較してみましたが、本体代金とは別に一万円から二万円ほどの工賃がかかることを知り、その予算を便座自体のグレードアップに回したほうが賢明ではないかと思い至ったのがきっかけです。インターネットで交換手順を解説している動画やブログを貪るように読み込み、自分でもできそうだと確信を持った週末、ホームセンターで必要な工具と新しい便座を買い揃えました。作業を開始して最初に直面した壁は、古い止水栓の硬さでした。十数年も動かしていなかったその金属製のネジは、まるで見えない力で固定されているかのようにびくともせず、一瞬「やはりプロに頼むべきだったか」という不安が頭をよぎりました。しかし、無理に回して破損させるリスクを避けつつ、少しずつ潤滑剤を差しながらじわじわと力を加えたところ、不意にカチリと音がして回り始めました。この瞬間の安堵感は、DIYを経験した者にしかわからない特別なものです。古い便座を外してみると、そこには時間の経過を感じさせる蓄積した汚れがありましたが、これを自分の手で一つひとつ取り除き、新品のような輝きを取り戻していくプロセスは、どこか瞑想に近いような清々しさがありました。新しい便座の取り付けは、説明書を首から下げるようにして一歩ずつ進めました。特に神経を使ったのは、給水管の分岐金具を取り付ける工程です。ここで失敗すればトイレが水浸しになるというプレッシャーはありましたが、あらかじめ予行演習を繰り返していたおかげで、パッキンの向きやネジの噛み合わせを間違えることなくスムーズに接続できました。金属製の給水管から、柔軟なフレキシブルホースへと変わったことで、見た目も一気に近代的な印象になりました。いよいよ最後の工程である便座本体の装着です。ベースプレートにカチッという手応えとともに本体がはまったとき、これまで感じたことのない達成感が胸にこみ上げました。止水栓を恐る恐る開き、水の流れる音を聞きながら、接続部から一滴の水も漏れていないことを確認したときの高揚感は忘れられません。コンセントを差し込み、初めて温水ノズルから水が出た瞬間は、思わず一人で拍手をしてしまったほどです。作業時間は、掃除やトラブルへの対応を含めて三時間ほどかかりましたが、その三時間は自分の家を自分の力で守り、向上させたという確かな証となりました。最新の便座は座るだけで心が和み、節水や省エネ機能も充実しているため、家族からも大絶賛されました。自分で交換したことで、万が一故障した際もどの部分をチェックすればいいのかが明確になり、住まいに対する主体的な関わり方が変わったように感じます。業者に頼めば短時間で終わる作業かもしれませんが、自分の手で苦労して成し遂げたからこそ、毎日の何気ないトイレの時間が、以前よりもずっと豊かで満足感に満ちたものに変わりました。
週末のDIYでトイレの便座を新しくした実体験記